Yuuka

9月に入り真夏のような暑さが続いております。皆さま体調はいかがでしょうか?
リオデジャネイロオリンピックが終わり本日からパラリンピックが始まります。また寝不足になるかもしれません。ヨガで鍛えて、それに耐えられる強い身体をヨガで養っておきたいですね。
今回のオリンピックも数多くの心を打つ感動のシーンがありました。それぞれのアスリートが4年間かけて積み上げてきた思いを一瞬に凝縮し昇華させる舞台。そこでは緊張、希望、躍動、そして沢山の勇気を私たちに与えてくれました。中でも印象的だったのが、それぞれの選手を陰で支える家族やコーチの存在です。試合終了後のインタビューでの大切な方への感謝の言葉が心に残ります。NHKリオデジャネイロオリンピックパラリンピックのテーマソングである安室奈美恵さんのHero。その歌詞の
君だけのためのHeroどんな日もそばにいるよ
強くなれる訳は 大切な人が常に笑顔で支えてくれた 
だから乗り越えられる 険しい道のりも
どこまでも すべて 君のために走る
などの歌詞と、選手と、選手を支える方々との映像が相まって、何度も涙腺が緩んでしまいました。







今月の19日からは秋の「お彼岸」です。ちょうどパラリンピックが終わる翌日です。
9/22秋分の日は彼岸の中日と言い、その中日をはさんだ前後3日間の7日間がお彼岸の期間です。
お彼岸は到彼岸とも言いますが、迷いの此の岸を離れて悟りの彼の岸に到達するという意味を持ち、古代インドの原語でパーラミターといいます。彼岸に到達するための6つの修行、それを六波羅蜜といい、この7日間は実践期間とされているのです。

六波羅蜜の一つ目は布施、施し与えることです。
思いやりのある暖かい心で、人のため、社会のために尽くして、決してその報いを求めない行為の実践です。
二つ目は持戒。戒律を守ること、生活を律すること
三つ目は忍辱。苦難に耐えしのぶこと、怒りの心を起こさないこと
四つ目は精進。ひたすらにはげみ努力すること。
五つ目は禅定。心を鎮め整えること。
六つ目は智慧。深い洞察力、一切の現象や現象の背後にある道理を見極める心の作用
これが六波羅蜜です。






さて、六波羅蜜の一つ目の徳目は布施行でした。実はこれには理由があるのです。
皆さんは1日の間に他人のことを考えている時間はどれくらいあるでしょうか?その中で相手のためになる何かをしてあげようと考えている割合はどれ程でしょうか。

布施行とは物惜しみせず、見返りを求めず与え施すこと。
具体的には、金銭や衣服食料などの財を施す「財施」。
仏の教えを説く「法施」。
災難などに遭っている者を慰めてその恐怖心を除く「無畏施」。
また、無財の七施といって、
やさしい眼差しで見る。
柔和な笑顔を見せる。
やさしい言葉を使う。
肉体を使ってボランティアをする。
やわらかい心をもつ。
座る場所を譲る。
宿を提供し労をねぎらう。これらが布施行に値します。
布施行は私たちにもその気になればすぐできる、比較的やりやすい行のように思えますが、いざ実践するとなると簡単にはできないものです。そして欲を捨て、相手の立場に立って、あるいは相手の心の負担にならないように物を与えると言う事は大変難しいことです。だからこそ大切な行である為一番に挙げられているのです。




私たちは自分一人で生きているのではありません。たくさんの人の尊い支えによって生きていて、自分もまた知らず知らずのうちに誰かの支えになっていることもあります。ともに奉仕をしあい支えあって生きているのです。オリンピックに出場するアスリートもきっとその思いがあるのでしょう。自分が成し得た行いが周りに力を与え、それを支え続けた方もまるで自分のことのように哀歓を共にしている。まさに共に生きているという姿を感じさせられました。
「自利」自ら利益を得ていくということ、「利他」他人に利益を与えること。
  利益は「りえき」と読むと経済的な利得のこと(ベネフィット)ですが、「りやく」と読めば(ハピネス)福利をはかること、神仏の力により授かる幸福とになり、違う意味を指します。
すなわち自分の行為を通して他人が喜び、他人の喜びを自分の喜びにできるようにしていきましょうという教えです。自分さえ良ければ他人はどうでもいい。そのような考えを持っていては誰にも愛されなくなってしまいます。
仏さまも慈悲の心で自利利他の行を務められ、私達衆生に利益と安楽をもたらしてくださる。いわば自利利他は仏教の実践する理想であると言えるのです。










ヨガにおいても古代の経典に見返りを求めない行為はヨガの道において大切なことと記されています。
そしてその心はマットの上での練習にも影響を与えます。
気の毒な方に手を差し伸べることをせず、見て見ぬふりをして、ご恩を受けた方にお礼の気持ちも持たず、恩を仇で返すようなことをして、敬うべき先輩や徳を備えられた方、神仏の前でも、疑ったり背を向けたり。そんな状態で、心から気持ちのいいヨガができるでしょうか?安定した呼吸ができるでしょうか?自分と向き合い心の安定を図ることができるでしょうか?できませんよね。

布施行は幸せのスイッチ。実践をした瞬間から心が穏やかになり平穏をもたらします。


これから行うヨガのクラスも周りの方に施しの気持ちをもってやってみましょう。照れくさいかもしれませんが布施行の実践一つ目として両隣と前後の方に軽く目を合わせて挨拶をしてみましょうか。よろしくお願いします。これだけで自分の居心地も良くなったのではないでしょうか。それでは初めて行きましょう。

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